屋根裏の電気実験室

トラブルらけの電気回路実験をレポートします

前回のグラフからわかるように、200D5に並列に入れる抵抗値を変えることで、温度と抵抗値の変化を変えることができます。後は、25℃の時の抵抗値を直列抵抗で補正して、金田さんの設計値と同じにすれば良いはずです。ただし金田さんが25℃で設計していればの話です。
まずは一番変化の小さい所から実験してみます。
200D5に100Ωを並列に入れ、82Ωを直列に入れます。手持ちの抵抗だとこれが一番近い値です。
温度を測るために、トランジスタに温度センサを付けます(挟みます?)。温度センサと言うと大げさですが、水槽用の温度計として1000円前後で売られているものです。
温度とアイドリング電流の関係が、わかれば良いのですから、この程度の物で十分です。
温度測定
実際に測定してみます。室温約25℃で65mAに調整した後、早朝とヒーターで室温が上がったところを測定します。
100Ω13.5℃ 
100Ω22.9℃ 
13.5℃で25mA
22.9℃で45mA
でした。この時の温度はトランジスタの温度ですので、室温よりは数℃高めになります。
写真が見難くて申し訳ありませんm(_ _)m。

この値では温度と共にアイドリング電流が増えてしまいます。傾きが小さいので、トランジスタが暴走するかはわかりませんが、2.13mA/℃でアイドリングが増えますから、トランジスタの温度が50℃程度になると、45+(50-22.9)*2.13=102.7mA程度が予想されます。

それではもう少し並列抵抗を大きくしてみます。200D5に120Ωを並列に入れ、82Ωを直列にします。
同じように測定してみると、
120Ω13.5℃ 
120Ω21.3℃ 
120Ω27.3℃ 
15.3℃で45mA
21.3℃で50mA
27.3℃で65mA
でした。今回は1.67mA/℃ですから、100Ωの時よりは変化が小さくなっています。
まだまだ追い込めそうですが、もう少しでMJの5月号が発売になりますし、この値でトランジスタが熱暴走するとも思えません。実験はここで終了にします。
結論としては、200D5でも抵抗値を変えれば、200D5Aの代替えとして使えそうです。(音の方はわかりませんが・・・)
終了したもう一つの理由ですが、今回トランジスタの温度とアイドリング電流の関係を測定したのですが、電源一体型の4Ωタイプでは、トランジスタの温度変化より、2段目の作動増幅回路に入っている定電流回路の1S1588*2本の温度変化のほうが影響が大きい事がわかったからです。
1S1588を触るとアイドリング電流が大きく変化します。とてもサーミスタで吸収できるような変化ではありません。
次回作成する8Ωタイプにはこの回路は有りませんので、これ以上追い込んでも意味が無さそうです。

あっ!!もう一つの確認項目だったアイドリング調整回路の安定ですが、こちらは特に何の問題もありませんでした。電流伝送の8Ωアンプも問題なく動作しそうです。
発振さえしなければの話ですが。

この実験が200D5を使う方の参考になれば幸いです。だたし、抵抗値は同じにはならないと思いますよ。放熱器の熱抵抗と回路構成が違えば、必要なサーミスタの特性も変わりますから。
たぶん200D5Aでも同じことが言えると思うのですが?

さてこれで、プリとパワーが完成しましたから、試聴ができそうです。

バッテリードライブのパワーアンプと言っても、今回作成する予定は、No.209の電圧入力の非反転型パワーアンプです。電流伝送タイプはMJ5月号まで待ってから考える事にします。
なぜって、既に電源と片チャンネルは出来ているからです。予算の関係で電源一体型の4Ωタイプです。
さらに、今後電流伝送にするために、いくつか実験しておこうと思います。電源電圧の低い4Ωタイプは実験にもちょうど良さそうです。

実験する項目は2つ有ります。
1.電流伝送タイプのアイドリング調整回路は安定しているか。
2.サーミスタ200D5200D5Aの代替になるか。

1つ目の、アイドリング調整回路の件は、MJ4月号の回路の事です。今までのパワーアンプと違って、2段目のコモン抵抗部分がダイオードに変更されています。もちろん半固定抵抗も有りません。その代わりに1段目の定電流回路に半固定が入って、ここでアイドリング電流の調整をしています。
この方が私としては好感が持てます。しかし、ダイオードはなんで入ったのでしょうか?抵抗でも良い所にダイオードが入る理由は一つ、温度安定度の改善!(なーんて信用しないでください。)
まあそんな訳で、入力の1・2段目をこんな回路に変更します。
パワーアンプの変更点
2つ目のサーミスタの件ですが、ネットの中を探しても200D5200D5Aの代替として使っている人を見かけません。だからって200D5Aは入手困難ですし、もともとそんなに特性の差が有るサーミスタではないでしょう。石塚のこのシリーズはB定数が3500K前後ですし、25℃の200Ωも同じです。データシートが無いので、どこが違うか知りませんが、全く使えない事は無いでしょう。音には影響するかもしれませんが、定電流の上に固定抵抗とパラですから、私には聴き分ける事は不可能でしょう。

【ここから下は200D5を使って、放熱器もオリジナルと違う物を使う場合の話しです】
そもそも、このサーミスタ、ファイナルのTrに熱結合されています。目的はTrの発熱による熱暴走の防止回路です。
所がこの回路の抵抗値(サーミスタと430Ωのパラレルの値)を計算してみると、やたら大きく変化します。
200D5の温度_抵抗値特性 
グラフを見てください、紫色の線が430Ωとパラの時の変化です。横軸が温度(℃)縦軸が抵抗値(Ω)です。実用的な範囲としてTrの温度が10~50℃まで変化すると抵抗値は200~70Ω程度変化します。この抵抗に定電流の2mAが流れるとその電圧は0.14~0.4V変化します。そしてこの変動は2段目のTrのベースを駆動し増幅されてファイナルのダーリントン接続されたTrに電流を流します。
いっくら何でも大きすぎはしませんか~!?
それにこの変化は放熱器によっても電源電圧によっても変更する必要が有る筈です。
もし電源電圧が15Vなら65mAのアイドリングで約1Wの熱が出ます。周囲温度が25℃で、放熱器が10℃/WならばTrの温度はおよそ35℃になりますが、電源電圧が7.5Vの4Ωタイプのアンプでは30℃にしかなりません。200D5Aを使った場合と、同じ回路定数と言うのは少々無理が有りそうです。特に変化の激しい低温状態ではかなりアイドリング電流が増える事が予想されます。
そこで実験です。放熱器はオーエスのPC1344アルマイト無し、長さ30mm、13℃/Wの物を使い、20℃で65mAに調整します。翌朝良く冷えた状態で(10℃)パワーON!。見事1Aの電流計が振り切りました。予想は当たりましたが、どうしましょう。ネットをもう一度探すと、同じように苦しんでいる人のHP発見。早速パクッてダイオードをパラに入れてみます。そして翌朝パワーON!。やはり1A振り切りですが、すぐに電流が下がり始めました。そのまま放置して朝飯を食べて戻ると200mA程度まで下がっています。まあダイオード無しよりはましですが、30分経過しても200mAでは実用性はどうでしょう?まして真冬になれば0℃覚悟の部屋ですから、いくら暖房してもTrの温度が室温まで上がるには相当時間がかかります。
これでは私の部屋では使えません。(ちなみに夏の日中は40℃を超えます)

さあて本腰を入れて熱暴走回路をねじ伏せましょうか(笑)
やっと試聴まで漕ぎつけました。
バラック状態ですが、一応フレームに組み込みましたので、写真を取っておきます。
試聴用バラック 
ACコードが付いていたりして(笑)、でもちゃんとバッテリー入力コネクタも有ります。
このフレーム以前分解したC-2aのフレームです。使わないでホコリをかぶっていたのでは可哀そうですし、と言って我慢して聞く気にはなれません。そこで、中身を電流伝送プリに変更する事にした訳です。もちろん元に戻せるよう、板金の改造は最小限にしてあります。

話を試聴に戻しましょう。とにかく全てを接続して、プリの電源をONします。電源電圧の確認とDL-103の-4.8VもOKです。恐る恐るAB級180Wの電源をON(ボン!この心臓に悪い音何とかなりませんかね)、プロテクションも動作せずに無事電源が入りました。ゆっくりボリュームを上げてハムの確認。これもOKです。アース線がフレームに繋がっているだけで、全くGNDから浮いているのに不思議です。
ターンテーブルの電源もONします。以前のBL-71はここでハムが少し乗るのですが、BL-91Lは静かです。同じ構造に思えるのですが、何が違うんでしょうね。そしてカートリッジの指掛けに手を触れると、やっぱりほんの少しハム音がします。いわゆるボディーエフェクトっちゅうやつですね。Idssが4.5mAの2SK97ですらこの状態ですから、Idss 10mAなんてやつを使っていたら今頃・・・・(怖)
一応準備完了したので、LPを乗せて視聴開始です。
「マーラー指揮のスターウォーズ」 <- 初めて聞いたんで比較できません。失敗!
「イーグルスのHotel California 」
DL-103直後の2SK97が強烈に効いているようです。ものすごい勢いで楽器の音が現れます。有る程度予測はしていたのですが、カートリッジからEQアンプの間で、これほど情報が失われているのでしょうか。低周波と言えどもケーブルロスを無視できないのですね。
私のもう一つの趣味に無線が有ります。U/SHF帯専門ですが、この世界ではアンテナの直近に受信アンプを入れるのが常識です。レコードより遥かに小さな信号を扱うのですからケーブルのロスは致命的です。さらに熱雑音なんてオーディオでは無縁の物理現象まで存在します。当然アンプの位置やケーブルの太さ接点の数は劇的な変化をもたらします。
まさかオーディオもここまで変わるとは思いませんでした。

しばらく聞いているとどうしても音が左に寄ります。以前からこの傾向は有ったのですが、部屋のせいと決めつけていましたが、どうもそれだけではなさそうです。試しにプリのL/Rを入れ替えますが変化しません。つまりパワーアンプがアンバランスになっていると言う事です。とうとうAB級180Wも寿命かもしれません。
一応確認のため、M-506Rに変更してみます。若干左寄りの傾向は有りますが、先ほどとは全く違います。でもなんか落ち着きません。
この後「狂気」「時空の舞踏」「聖なる剣」「マリーナショウ/ Live At Montreux 」「エラ/SINGS THE COLE POTER SONG BOOK」と聴いたのですが・・・・・・正直納得できません。

疑問を持ちながらしばらく聞いていると、私の後ろを通った子供が一言、
「アンプ変えたら奥行きが無くなったような感じ」
これきっと当りです。私も同じような事を思っていました。
私と違って子供にはオーディオなんて趣味は有りません。いつもは携帯型デジタル音楽プレイヤーとイヤホンで音楽を聞いています。ただ私が同じようなアルバムばかり聴いているので、雰囲気は覚えているみたいです。

試聴した感想のまとめです。
楽器やボーカルのエネルギーは今までのDCアンプに無いエネルギー感です。ここまで強烈な印象は初めてDCプリを聞いた時以来久しぶりです。それと引き換えに、音楽の奥行き感や雰囲気が犠牲になっているのです。今まではしばらく聞いていると、音楽の中に引き込まれて行くような錯覚が有りました。”周囲の音で現実に引き戻される”これが当たり前の状態です。ブログの最初の方に書きましたが、音の麻薬のような感じです。今回はそれが全く起こりません。全ての音がスピーカーより前に出て来ます。ちょうど3D映像のような感じで、限りなく目の前まで来るのですが、決して自分より後ろには行かないのです。もちろん音楽に包み込まれるような事は有りません。

今回はかなり失望しました。他に作成された方の感想を見ると、絶賛されている方が多いのですが、私にはとてもそうは思えません。正直うざいアンプが感想です。(私個人の感想ですのでご容赦ください)

だからと言って後戻りする事もできません。オリジナルとも若干違いますので、もう少し落ち着いて検討してみましょう。

まず、パワーアンプをなんとかしなくてはいけません。作りかけのバッテリーパワーアンプを仕上げましょう。
それから、プリアンプとパワーアンプの間が電流伝送になっていません。これは慌てずMJの5月号を待ちましょう。

元はと言えば、ターンテーブルとアームと中古のLP購入がきっかけで、プリアンプの動作不良が発覚した訳ですから、システム全体がいろいろ問題を抱えています。ただ、動作不良の状態でもこんな現象は有りませんでしたから、プリアンプが何らかの原因で有る事は確かです。

もう少し頭を冷やすために、そして以前からの疑問を解決するために、しばらくバッテリーパワーアンプの製作に注力しましょう。
今度はフラットアンプの調整です。って記事を読んでいるとこのアンプ、ラインアンプと言うんですね。おかしいな、どこで間違えたのだろう?
特別な事は有りませんが、SAOCの定電流回路の電流値調整だけはきちんとしましょう。2mAでOKです。私の抵抗値はまたしても120Ωでした。

さて、EQとラインそれぞれの調整が終わったら接続します。
すぐに視聴したいところですが、も一度確認です。
EQアンプのSAOC電流と出力電圧。
ラインアンプの出力電圧と安定度。
一応OKです。
前回のプリアンプに比べると安定度は抜群です。でも±1mVにはなりませんね。
私の実験室は本当に屋根裏なので、温度差が大きいのです。この時期は20℃以上にはなりません。暖房切ったら10℃以下です。いくら実験前に暖房しても、冷え切った半導体が温まるまでには相当の時間がかかります。この間出力電圧はゆっくりとドリフトしていきます。
さて・・・どこかで割り切って調整を終了しましょう。

続いては実際にアームを通してPHON端子に接続です。一応電源電圧が±5V程度有るか確認します。PIN端子のGND側がマイナス電源ですからかなり危険です。それからアームのグランド線を繋いで・・・・・???
えっ?これどこに繋ぐのかいな????
試しにGNDに接続すると、思った通り電源とショートしました。仕方がないので、プリアンプのフレームに接続しておきましょう。(ハムを拾いそうなやーな予感)

まだまだバラック状態ですが、やっと試聴できそうです。
今回も写真無しの手抜き更新でした。

やっと完成したプリアンプですが、これからが本番みたいなものです。ここで手を抜くと、間違いなくVRでの調整不能、動作不良、最悪はパワーアンプやスピーカーの破壊に至ります。
お蔭さまで私の場合、破壊の経験は有りませんが、パワーアンプの保護回路のお世話には何度なった事か。それでは調整を始めましょうかね。EQアンプ、フラットアンプの順に調整します。

EQアンプの調整
まず、調整するEQアンプ基板だけをはずして、電源の配線をします。この状態で一度電源を入れて±5V程度になっているか確認します。ショートしている可能性も有るので、手早く確認します。
次に金田さんの指示通り、入力FETへの電流経路をカットし、Tr2の負荷抵抗をボリュームに変更します。
OFFSET電圧を1mV程度に調整しますが、しばらく見ていると温度ドリフトが出ます。
どうせ後からSAOCが補正してくれるのである程度で終了です。
私のEQアンプはLチャンネルが100+1.5k、Rチャンネルが240+1.5kでした。

次にSAOCの調整ですが、FETはカートリッジに実装していないので、直接基板に配線します。この時、カートリッジの取り付けを考慮してLRに注意します。
SAOCの電流調整の前にSAOCの定電流回路の電流値を調整します。Tr5(2SK117BL)のG-S間に入っている180Ωの両端電圧を測ってこの抵抗の電流を2.4mA程度に調整します。これをしっかり押さえておかないと、温度変化で発振しますので注意が必要です。私の使った2SK117は120Ωでおよそ2.4mAになりました。
この後の調整ですが、金田さんの調整法ではTr4のエミッタとGND間で電圧測定とありますが、ちょっとこれは????

電流伝送プリのSAOCについてはMJの8月号に書かれているのですが、SAOCの出力電流は1mAが設計値です。この回路ではTr4のエミッタ抵抗2.4kの電圧を測定して2.4Vにするほうがより正確です。
さらにMJ8月号をよく読むと、SAOCの電流値はEQアンプのISC(2SK97の定電流回路)と密接な関係があるようです。
私の勝手な解釈では、SAOCを強くすると音に影響が出る。SAOCの電流値はISCとの比で考えなくてはいけないようです。
実際金田さんの記述では、2011年MJ8月号ではISC=5mA、SAOC=1mA 2012年MJ2月号ではISC=4mA、SAOC=1mAで説明されています。さらにこの電流値は2SK97のIdssに依存しますから、必ずしもSAOC=1mAは正解とは言えそうもありません。私が今回使う2SK97はIdssが4mA程度ですから1mAは少々多そうです。若干少なめに調整しましたが、きちんとした調整は完成後出力安定度と、音を聞いて確認してみましょう。
はたして私の耳でわかるかどうか?????????????????(無理だろうなー)

ごろにゃー

Author:ごろにゃー
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